顧客を安く獲得できれば、事業は早く伸びます。しかし顧客像が定まる前の効率化は、確かめたい相手ではなく、集めやすい相手を集めてしまいます。獲得の効率を価値の検証が進んでいることと取り違えるのが、この罠です。

新規事業の会議で、担当者が広告の成果を報告します。「獲得単価が先月の半分になりました」。予算はそのチャネルに寄せられ、会議は短く終わります。誰も、集まった顧客が誰なのかを聞きません。
架空の健康食品の定期便で考えてみます。発売から半年、担当者は複数のチャネルを試し、クーポンサイト経由の獲得単価が検索経由の半分だと分かりました。予算をそちらに寄せると、新規の数は伸びました。ところが三か月後の継続率は、クーポン経由が5%、自分で検索して来た人が30%でした。安く来た顧客は値引きに反応した人で、商品の価値を確かめられる相手ではありませんでした。
獲得の効率を測り、良いチャネルに予算を寄せることは正しい仕事です。罠が始まるのは、誰に価値があるかがまだ分からない段階で、集めやすさを基準に顧客を選び始めたときです。

