完成してから見せたら、顧客の求めるものと違っていた ―罠15:完成品の先行

良いものを作ってから見せたい、という思いは自然です。しかし需要が確かでないうちに完成させると、確かめる機会は最後の一度になります。完成度を上げることを需要を確かめることと取り違えるのが、この罠です。
完成してから見せたら、顧客の求めるものと違っていた ―罠15:完成品の先行
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開発会議では、機能の追加と品質の向上が議題です。「これでは、まだ見せられない」。発売は延び、費用は増え、顧客に見せる日は先へ先へと動きます。完成した日、初めて顧客の反応を知ります。

架空の測定機器メーカーで考えてみます。工場向けの新しい検査装置を二年かけて開発しました。開発の二十四か月のうち、顧客に実物を見せたのは発売前の最後の一か月だけでした。発売後半年の販売は、計画の二割です。顧客が求めていたのは検査の精度ではなく、既存の生産ラインに置ける大きさと、設定の簡単さでした。

品質を高め、完成度を上げることは正しい仕事です。罠が始まるのは、「需要が確かでない」という最も危うい仮説を後回しにし、確かめられる段階になっても見せなかったときです。

《西口一希》

ビジネスの罠と解決法