買ってくれた人のデータだけで、市場が分かったつもりになる ―罠23:購入者への偏り

自社の購入者のデータは、詳しく、正確で、手元にあります。しかしそれは市場の一部で、選ばなかった人のことは何も語りません。購入者の理解を市場の理解と取り違えるのが、この罠です。
買ってくれた人のデータだけで、市場が分かったつもりになる ―罠23:購入者への偏り
  • 買ってくれた人のデータだけで、市場が分かったつもりになる ―罠23:購入者への偏り
  • 買ってくれた人のデータだけで、市場が分かったつもりになる ―罠23:購入者への偏り

「購入者の満足度は90%、リピート率も高い」。会議の報告は、自社の顧客データで埋まっています。なぜ市場の大半が自社を買わないのかという問いは、データがないので議題になりません。

架空のスキンケアブランドで考えてみます。購入者調査では満足度が90%で、社内は「商品は正しい」と結論づけました。しかし市場全体の調査をすると、自社を知っている人のうち買ったことがある人は一割、九割は知っていて買っていませんでした。買わない理由の上位は「価格に見合う違いが分からない」で、購入者の満足とは別の場所にありました。

購入者の満足と行動を測ることは、正しい仕事です。罠が始まるのは、手元にあるデータの範囲を市場の範囲と思い込み、未購入者、離反者、失注した相手、競合の顧客を見なかったときです。

《西口一希》

ビジネスの罠と解決法