1-3-9:マルチブランド 、リージョナルブランド/地域ブランド、ほか

マルチブランド、リージョナルブランド/地域ブランド、ローカルブランド、リーダーシップブランドを解説します。P&Gや石屋製菓、鳩サブレー、Teslaなどの事例を紹介します。
1-3-9:マルチブランド 、リージョナルブランド/地域ブランド、ほか

1.種類や範囲 62の優先語彙:13~16

「ブランド・ブランディングに関する158語彙:8分類と62の優先語彙」で紹介した8分類に沿って、62の優先語彙を解説しています。ここでは「分類1.ブランドの種類や範囲に関連するもの」より、マルチブランド、リージョナルブランド/地域ブランド、ローカルブランド、リーダーシップブランドを解説します。

マルチブランド(Multi Brand)

ひとつの企業が同一市場で複数のブランドを運営し、異なるターゲット市場やニッチ市場に対応することで、シェア拡大を狙います。ただし、別の市場、別のカテゴリーで複数ブランドを展開することを意味する場合もあります。

  • 事例1:P&Gは、シャンプー市場で「Pantene」「h&s」など複数のブランドを展開し、マルチブランド戦略を採用しています。

  • 事例2:ユニリーバは、パーソナルケア市場で「Dove」や「Lux」など複数の異なるブランドを展開しています。

  • 事例3:資生堂は、スキンケア製品市場で「クレ・ド・ポー ボーテ」「エリクシール」「dプログラム」など特徴や価格帯が異なる複数のブランドを展開しています。

リージョナルブランド/地域ブランド(Regional Brand)

特定の地域で生産されたプロダクトを基盤に、地域特有の文化や産業などを活かして展開されるブランド。地域内外で、特産品や独自の魅力を訴求し、地域の認知度や経済発展に貢献します。

  • 事例1:石屋製菓の「白い恋人」は、北海道のお土産のひとつとして親しまれている、地域を象徴するブランドです。観光地としての北海道の認知度向上や地域経済にも貢献しています。

  • 事例2:かまぼこメーカーの小田原鈴廣(すずひろ)は、日本国内で非常に知名度が高いブランドです。小田原市やその周辺地域で、地元の特産品として親しまれています。

  • 事例3:佐賀牛は、佐賀県特有の飼育方法や風土が反映されており、地域の食文化を代表する存在です。地域に根ざしたブランド価値が名称や品質に込められたリージョナルブランドです。

ローカルブランド(Local Brand)

特定の地域内で主に認知・消費されている、地域固有の需要や文化に基づいているブランド。必ずしも特産品に関連しているわけではなく、他の地域では認知度が低いか、販売されていないこともあります。

  • 事例1:鎌倉の「鳩サブレー」は、観光地として有名な鎌倉で親しまれているお土産品であり、地域に強く根ざしたローカルブランドです。

  • 事例2:沖縄の乳酸炭酸飲料「スコール」は、沖縄産の果物や独自の風味を活かしており、特に県内でブランド認知度が高く、地域住民に親しまれています。

  • 事例3:米カリフォルニア州発祥のハンバーガーチェーン「In-N-Out Burger(イン・アンド・アウト・バーガー)」は、西海岸と一部の南部州に限定して多くの店舗を出店しています。

リーダーシップブランド(Leadership Brand)

市場をリードし、他の競合ブランドに対して優位性を持つブランド。業界全体の基準やトレンドを作り出します。

  • 事例1:Teslaは、グローバルにおける電気自動車市場でリーダーシップブランドとして君臨しています。

  • 事例2:Googleは、検索エンジン市場でリーダーシップブランドとしての地位を確立しています。

  • 事例3:Netflixは、ストリーミング業界での市場シェアとオリジナルコンテンツの制作でリーダーシップブランドとして認識されています。

まだ会員登録されていない方へ

会員になると、既読やブックマーク(また読みたい記事)の管理ができます。今後、会員限定記事も予定しています。登録は無料です


《西口一希》

ブランディングの3つの目的+158語彙:8分類と62の優先語彙