
売上・利益のない層にいくらかけているか
5segsを作成すると、上位2つの購入セグメントの、大まかな年間売上貢献を把握することができます。自社で把握しているロイヤル顧客と一般顧客の実購入データを元に、それぞれの顧客セグメントの平均年間購入額を出して、各セグメントの人数に掛け算すれば、およその売上が算出できます。 さらに、この2つの現在顧客セグメントとそれ以下の3つのセグメントへの投資費用額を概算で出せば、5つのセグメントごとに費用と営業利益を出すことが可能です。
下3つの層については、現時点で売上を生み出しているわけではないので、利益も当然出ていません。プロモーションにかけた費用はすべて、上位2セグメントの顧客からの利益でまかなっていることになります。 それを踏まえて、全セグメントに対する費用を算出します。

テレビCM、PR……各施策の対象者を見極める
まず、ロイヤルカスタマープログラムやCRMであれば、上位1層か2層に対してのみの施策になるので、対象者によって1層のみ、あるいは両方に人数割りで付与します。テレビやPRのようなマス投資であれば、現在顧客以外にもリーチしていると考えて、全セグメントの人数ごとに平均的に割り振ります。仮に対象マーケット母数の1%がロイヤル顧客、60%が未認知顧客なら、テレビCMのようなマス投資の費用はロイヤル顧客へ全マス投資の1%、同様に未認知顧客への費用は60%という計算になります。 さらに、デジタル施策のようにターゲティングしていれば、それぞれの層に割り振ります。また、販売促進活動も、販売チャネルの顧客数カバレッジと実購入者数との差違から、上位4セグメントに割り振ることができます。
こうすると、それぞれの顧客層に対してどれだけ投資し、売上を作り、その期間の利益貢献がどれだけあるかの概算がそれぞれのセグメントごとに見えます。あくまで推定値ですが、売上だけでなく費用と利益の関係を5segsで把握すれば、マーケティングの投資戦略に大きく活用できます。


5segsは組織をつなぐ横串になる
どのようなビジネスにおいても、自社プロダクトがマーケットと考える全体を顧客数(BtoBならクライアント数)で把握し、自社プロダクトとの関係によって5つのセグメントに分けることは、最小限の顧客分類になります。そして、5segsは社内で共有することで、複数の組織をつなぐ横串として役立ちます。
概算でもよいので、各セグメントの数字を算出してみると、客観的な情報としていろいろなことが可視化できます。自社プロダクトの認知率や、ロイヤル顧客の割合と一般の割合の程度、離反の発生率などについては、5segsのような客観情報がなければ部門間で認識が異なることも少なくありません。現時点で認識がそろわなくても、5segsの数字をもとに話すことで、どこに認識や意見の相違があるのかを確認し、それらを合わせていくことが重要です。5segsの作成は、組織が一体となって顧客の理解を深めていく第一歩になります。
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