2-2-3:「5segs」「9segs」で顧客の状況を明らかにする

顧客起点マーケティング ビジネス構造の理解
顧客セグメンテーション手法5segsと9segsは、顧客の価値観を理解し、効果的なマーケティング戦略を構築するためのツールです。これにより市場全体を可視化し、持続的な成長を促進します。
2-2-3:「5segs」「9segs」で顧客の状況を明らかにする
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5segsを3つの質問で、9segsを4つの質問で作成する

まず、2つのフレームワークの概要を解説します。顧客起点マーケティングでは、1人の顧客を起点に「何に価値を見いだしていただけるか」を洞察し、顧客とプロダクトとの最適な組み合わせを見つけて、事業成長につなげていきます。1人の顧客を徹底して理解することから、有効な打ち手を導き出して拡大展開し、5segsないし9segsにおいて対象とする顧客セグメントの人数や構成比(%)の動きを見ることで、マーケティング投資の効果検証まで行います。

5segsまたは9segsの作成には、まだプロダクトを知らない人を含めてマーケット全体の人数を割り出した上で、対象顧客に「①プロダクト認知の有無」「②購入(使用)経験の有無」「③購入(使用)頻度」「④次回購入意向(次の機会に買いたいかどうか)」の4つの項目を訊ねます。このうち③までを使い、マーケットを5層に分類するのが5segs、④の軸を加えて計9層に分類するのが9segsです。

5segsの各セグメントは、上から「ロイヤル顧客」「一般顧客」「離反顧客」「認知未購入顧客」「未認知顧客」と呼びます。9segsは、5segsの上位4層をさらに次回購入意向の有無で「積極」と「消極」層に分け、図全体を横倒しにして表しています。セグメントはそれぞれ「seg.1(セグワン)積極ロイヤル顧客」「seg.2(セグツー)消極ロイヤル顧客」などと表します。

対象顧客全体を可視化・定量化する

5segsを用いると、例えば「プロダクトAを長年愛用するロイヤル顧客は市場全体の1%で、人数としてはおよそ1000人。一方、対象顧客として捉えているがまだ認知もしていただけていない未認知顧客は市場全体の80%で、人数としては8万人」といったことが概算できます。この段階でも、想定よりロイヤル顧客の割合が少なかった、あるいは顧客化の余地がまだまだ大きかった、といった発見が得られることが少なくありません。

5segsまたは9segsを使ったマーケティングの目的は、対象顧客全体(既存顧客と今後の潜在的な顧客候補のすべて)を統合して可視化・定量化し、各セグメントの人数を時系列で追うことでマーケティングを戦略的に実行し、ひいては継続的な事業成長を実現することです。その過程で、実在する1人の顧客の心理を深掘りするN1分析を実施し、WHOとWHATの組み合わせの仮説と、どういった提案が有効かのアイデアを模索します。

N1分析は、その人がプロダクトのロイヤル顧客なのか、それとも知りもしない未認知顧客なのかといったステータスが不明だと、あまり有効ではありません。ヒントになり得る意見があっても、それを別のどのような人に提案すれば受け入れられるのか、わからないからです。これが、どのセグメントに属する人なのかを把握した上でN1分析を実施する理由です。適切な顧客分類をせず、売上や利益がどの顧客層に由来しているのかを把握できていないと、新規顧客の獲得に過剰に投資してしまう事態や、既存顧客にばかり目を奪われてブランドを将来的に先細りさせてしまう事態に陥ります。5segsまたは9segsの顧客分類とN1分析によって、これらの事態を防ぎ、限りあるリソースを効果的に活用して、継続的な顧客の創出と安定的な事業成長を目指します。

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《西口一希》

ビジネス構造の理解