2-2-13:5segsで考える5つの戦略

顧客起点マーケティング ビジネス構造の理解
5segsでは、マーケティング戦略を5つのセグメントに基づいて最適化していきます。各顧客層をターゲットに、5つの戦略によって、ロイヤル顧客の育成と利益最大化を図ります。
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マーケティングと他の要素との関係

どのようなビジネスでも顧客起点で分析すれば、マーケティング、商品開発、営業活動、企業内のすべての機能が補完的に関わってきます。あるブランドにとっては、商品開発が大きな機会として見えるはずですし、あるブランドにとっては扱い店舗数の拡大や、EC導入などの販路の拡大が必要になるかもしれません。結果として、流通との取引条件を変更する必要が出てくることもあるでしょう。

そのため、5segsの作成と、その顧客セグメントごとの管理は、全社で共有できるマクロなKPIにもなり得ます。

目標と5つの基本戦略

マーケティングの責任は、ロイヤル顧客数および一般顧客数を拡大し、それぞれの単価と購入頻度を向上させて、掛け算としての売上を最大化し、費用対効果を高め、利益率を向上させていくことです。利益は&層のうちロイヤル顧客と一般顧客からしか上がっていないので、利益向上の構造を分解すると、次のようになります。ここでロイヤル顧客の購入頻度が上がればさらなるロイヤル化(スーパーロイヤル化)、同様に一般顧客の購入頻度が上がればロイヤル化したと捉えられます。

■ロイヤル顧客数×単価×頻度の向上(スーパーロイヤル化)=ロイヤル顧客層の売上(1)

(1)-費用=利益

■一般顧客数×単価×頻度の向上(ロイヤル化)=一般顧客層の売上(2)

(2)-費用=利益

また、ロイヤル顧客と一般顧客への流入、すなわち各層の人数の増加は、次のように表せます。

■ロイヤル顧客数 ←(一般顧客+離反顧客+認知・未購入顧客+未認知顧客)

■一般顧客数 ←(離反顧客+認知・未購入顧客+未認知顧客+ロイヤル顧客からのダウングレード)

下位から上位セグメントへの顧客の移行を促す

5segsで考える、戦略の選択肢は次の5つになります。

1.ロイヤル顧客のスーパーロイヤル化

2.一般顧客のロイヤル化

3.離反顧客の復帰

4.認知・未購入顧客の顧客化

5.未認知顧客の顧客化

上位への働きかけほどCRMを中心とした対象顧客の絞り込み、1対1のコミュニケーションが必要となり、下位ほどリーチが広いテレビなどのマス媒体を活用したコミュニケーションが有効になってきます。デジタルメディアは、ターゲティング次第で、上位層にも下位層にも効果的に活用できますが、テレビCMほど短期間での広いリーチや訴求伝達力はまだありません。

5つの顧客セグメントのどこに注力すべきかは、競合環境、顧客特性、利益性などで異なります。一般的に、上位に投下するほど利益性が高まり安定するものの、同時にニッチ化を招き、規模拡大のスピードは見込めなくなることが多いです。CRMやロイヤリティプログラム偏重によって陥りがちなパターンです。

また、逆に下位層に向けてマスメディアでコミュニケーション投資をすれば、短期間での規模拡大は期待できますが、顧客獲得コストは高く利益を圧迫しがちです。しかし、このマスメディアでのマーケティング投資も、N1分析で大きく成功確率を上げることが可能です。

いずれにしても、対象とする顧客セグメントと「アイデア」次第で選択肢は決まります。「デジタルか? テレビか?」のような、顧客不在のメディア手法の議論は無意味です。

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《西口一希》

ビジネス構造の理解