

各セグメントのマーケティング戦略からプラン企画へ
どのセグメントを対象顧客とするかを決めれば、より具体的なマーケティングプランを5W1Hで企画します。アイデア(便益+独自性)=WHATが見えると、それが受け入れられる顧客=WHOも見えますし、行動データや心理分析の中で、いつ(WHEN)、どこで(WHERE)、どのように(HOW)アイデアを届けるのがよいかも見えてきます。
入門編で「N1を絞り込むことを恐れない」と解説しましたが、N1の絞り込みを大胆に行うことが大事です。ここでN3やN10のグループインタビューになった時点で、それに基づくアイデアは弱くなります。逆に、N1の設定から導き出したアイデアには、必ず共感者が出てきます。N1起点のアイデアにどれくらいの人数の共感者が出るのかは、後にコンセプトテストで検証可能なので、恐れる必要はありません。ニッチなのではないか、特殊なのではないか、と不安になる場面こそ、強いアイデアの手前にいるのです。
N1のカスタマージャーニーを分析すると、具体的なコミュニケーション方法、情報接触ポイント、商品接触ポイント、購入接触ポイントが見えてきます。どういった状況で、どんなメッセージで訴えられたときに心が動いたのか、買おうという気持ちになったのか、ということです。これが具体的な顧客のWHEN、WHERE、HOWの設定に繋がり、さらにそこで購入意思決定を左右している心理の動き、そしてその心理を形成しているインサイトがWHYとして見えてきます。
例えばスマートニュースでは、認知度が50%を超えるまではテレビCMとオンラインメディアを主に使っていました。しかし50%を超え、新規顧客獲得数の鈍化が見えてきたとき、5segsの4層目にあたる「認知しているが非ダウンロード」の顧客のN1分析を実施しました。そこで、ニュースアプリの利用に保守的な地方や都心部郊外在住の方々が見えてきたので(WHOとWHERE)、その方々の利用を後押しする手段として新聞の折り込みチラシ広告や新聞広告を追加的に活用し(HOW)、新たな顧客を獲得しました。
アイデアの再現性の確認後にある戦略変更
活用可能なアイデアが見つからず、次の投資ができない場合、選択肢としては同ブランドでの新規商品開発あるいは商品の改良があります。そうなれば、商品開発部や生産部門との連携や調整が必要で、開発戦略としての投資と人員の再配置が求められます。
プロダクトの再現性も独自性もないままに、マーケティング部門だけで解決しようと、これまでと同様のコミュニケーションアイデア(テレビCMなど広告のイメージのみ)で無理に推していくケースがありますが、効果がない可能性が非常に大きいです。アイデアの再現性の問題は、テレビCMのクリエイティブやデジタルで乗り越えられる課題ではありません。短絡的に動かず、5segs+N1分析を基本に、効果の望めるプロダクトアイデアとコミュニケーションアイデアの創出に取り組みましょう。
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