4-1-21:ピグマリオン効果、フォン・レストルフ効果、プライマシー効果

ピグマリオン効果とは、他者からの期待が高いと、その期待に応えようとして実際に良い成果を出す傾向のことです。「自己成就予言」とも呼ばれ、期待が結果を左右する現象です。
4-1-21:ピグマリオン効果、フォン・レストルフ効果、プライマシー効果

心理学の9分類に続き、優先して理解しておきたい64の理論を事例を交えながら解説します。先の9分類で代表的な理論として挙げたものも含みます。

本項では優先すべき理論49~51として、ピグマリオン効果、フォン・レストルフ効果、プライマシー効果を解説します。

ピグマリオン効果(Pygmalion Effect)

ピグマリオン効果とは、他者からの期待が高いと、その期待に応えようとする意識が働き、実際にその期待に沿った成果を出す傾向のことです。「自己成就予言」とも呼ばれ、期待が高いほど良い結果を生む可能性が高まります。

  • トレーニングプログラム:社員研修やトレーニングプログラムで、高い期待をかけることで、社員のパフォーマンスを向上させます。新人研修で「あなたたちは会社の将来を担う重要な存在です」と強調し、期待をかけることで、研修参加者の意欲と成果が向上します。

  • カスタマーロイヤリティプログラム:顧客に対して特別扱いや高い期待を示すことで、顧客の忠誠心を高めます。VIP顧客プログラムで「あなたは我々の最も大切な顧客です」と伝え、特別なサービスや特典を提供することで、顧客の忠誠心が高まります。

  • スポンサーシップ:スポーツ選手や芸術家にスポンサーシップを提供し、期待をかけることで、そのパフォーマンスが向上するよう促します。スポーツブランドが若手アスリートに「将来のスター選手として期待しています」と伝え、最新のギアやトレーニングサポートを提供します。

フォン・レストルフ効果(Von Restorff Effect)

フォン・レストルフ効果とは、他のものと異なる特徴を持つ項目が、より記憶に残りやすいという現象です。際立った特徴を持つ情報は、他の情報よりも記憶に残りやすい傾向があります。

  • パッケージデザイン:商品のパッケージデザインを他と異なる特徴的なものにすることで、顧客の記憶に残りやすくします。シャンプーのボトルをユニークな形や鮮やかな色にすることで、店頭で目立ち、来店した人の記憶に残ります。

  • 広告キャッチフレーズ:他の広告とは一線を画すユニークなキャッチフレーズを使うことで、顧客の注意を引きます。靴の広告で「走るために生まれた靴」といった斬新なキャッチフレーズを使用し、目にした人の記憶に残るようにします。

  • プロモーションイベント:他のイベントとは異なるユニークな要素を取り入れることで、参加者の記憶に強く残るイベントを開催します。新製品発表会で、通常のプレゼンテーションではなく、演劇風のパフォーマンスを取り入れて製品の特徴を紹介するなどです。

プライマシー効果(Primacy Effect)

プライマシー効果とは、情報のリストや経験の最初の部分が特に記憶に残りやすい現象です。最初に得た情報が後の判断や記憶に強く影響を与えるため、最初の印象が重要です。

  • プレゼンテーション:プレゼンテーションの冒頭で最も重要なメッセージを伝えることで、聴衆の記憶に強く残るよう促します。新製品の発表会で、最初に「この製品は市場を変える革新です」と強調し、その後に詳細を説明します。

  • メールマーケティング:メールの冒頭に重要なオファーやメッセージを配置することで、受信者の注意を引きます。メールニュースレターの最初に「限定セール開始!」と書き、続いてセールの詳細を説明します。

  • 店舗ディスプレイ:店舗の入り口に注目商品やプロモーションアイテムを配置することで、顧客の記憶に残るようにします。スーパーマーケットの入り口に目玉商品をディスプレイし、顧客が入店した瞬間に注目を集めます。

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《西口一希》

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