4-1-24:ホーソン効果、ホーン効果、メンタルアカウンティング

ホーソン効果とは、人々が観察されていると意識することで、その行動が変わる現象です。労働者の生産性研究で発見されましたが、様々な分野で観察されます。
4-1-24:ホーソン効果、ホーン効果、メンタルアカウンティング

心理学の9分類に続き、優先して理解しておきたい64の理論を事例を交えながら解説します。先の9分類で代表的な理論として挙げたものも含みます。

本項では優先すべき理論58~60として、ホーソン効果、ホーン効果、メンタルアカウンティングを解説します。

ホーソン効果(Hawthorne Effect)

ホーソン効果とは、人々が自分たちが観察されていることを意識すると、その行動が変わる現象を指します。元々は労働者の生産性に関する研究で発見されましたが、幅広い分野で観察されます。

  • 店舗でのサービス向上:従業員が「観察されている」と感じることで、サービスの質が向上します。店舗に監視カメラを設置することで、従業員が常に最善のサービス提供を心掛けるよう促します。

  • 顧客フィードバックの収集:顧客がアンケートに回答する際、「観察されている」と感じると、普段以上に肯定的な意見を提供する可能性があります。レジで顧客満足度調査を行うときに、店員が見ていると、回答がポジティブになりやすい傾向があります。

  • 試食イベント:顧客が店員から試食品を提供される場面で、「観察されている」と感じることで、試食品に対する反応がより積極的になります。スーパーで試食イベントを行い、顧客が試食品を味わう際に店員が見ていると、購入意欲が高まります。

ホーン効果(Horn Effect)

ホーン効果とは、ある人や製品の一部のネガティブな特徴が、他のすべての面にも悪影響を及ぼすという認知バイアスのことです。ポジティブな特徴が好影響をもたらすという逆のバイアスを指すハロー効果とは対照的です。

  • ネガティブレビューの影響:ひとつの悪いレビューが、その製品全体の評価に悪影響を及ぼすことがあります。オンラインショッピングで、商品の評価に1件でも星1つのレビューがあると、他のポジティブなレビューがあっても、購入を躊躇する顧客が出てきますいる。

  • ブランドイメージの低下:ブランド内のある製品が問題を起こすと、ブランド全体のイメージが悪化します。ある自動車メーカーの一部のモデルがリコール対象になると、他のモデルやブランド全体の信頼性も低下します。

  • 従業員の行動の影響:一人の従業員の悪い行動が、その店舗全体の評価に影響を与えます。レストランで一人のウェイターが不親切な対応をすると、そのレストラン全体のサービスが悪いと感じられます。

メンタルアカウンティング(Mental Accounting)

メンタルアカウンティングとは、人々が自分の金銭や資産を心の中で異なるカテゴリに分け、それぞれ異なる価値を持つように扱う現象を指します。これにより、実際の金額や価値以上に感情的な判断が下されます。

  • ボーナスの使い道:生活者はボーナスを特別な収入とみなし、普段の収入とは別の使い道を考えます。ボーナスシーズンに高級家電や旅行パッケージを特集することで、顧客が「特別な収入」で贅沢な買い物をすることを促進します。

  • クーポンの利用:クーポンによる割引があると、顧客は「タダのお金」と考え、通常よりも高価な商品を購入します。クーポンを配布し、顧客がそのクーポンを使うことで、普段は購入しない高価格帯の商品を買うように促します。

  • セールの効果:セールで節約した金額を別の消費に回すことで、結果として全体的な支出が増えます。「セールで1,000円節約したから、そのお金で他の商品も買おう」と考えるようなマーケティング戦略を展開する。

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《西口一希》

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