4-1-10:社会比較理論、情報カスケード、シリアルポジション効果

社会比較理論は、人が自分の意見や能力を、他人と比較して評価する現象です。これを活用することで、顧客が安心して行動できるよう促すことができます。
4-1-10:社会比較理論、情報カスケード、シリアルポジション効果

心理学の9分類に続き、優先して理解しておきたい64の理論を事例を交えながら解説します。先の9分類で代表的な理論として挙げたものも含みます。

本項では優先すべき理論16~18として、社会比較理論、情報カスケード、シリアルポジション効果を解説します。

社会比較理論(Social Comparison Theory)

社会比較理論は、人々が自分自身の意見や能力を、他人と比較することによって評価する現象です。これにより、自分の信念や判断を確認し、行動に安心感を得るよう促すことができます。

  • 比較広告の利用:自社製品と競合製品を比較して、自社製品の優位性を強調し、自社製品を選ぶことが優れた判断だと顧客が思えるよう促します。洗剤の広告で「他社製品と比べて汚れが30%多く落ちる」といった比較を示し、顧客に選択の理由を提供します。

  • 顧客の成功事例の共有:実際の顧客が製品を使用して得た成果を紹介し、他の顧客がそれを目標にするよう促します。ダイエットプログラムの広告で、成功した顧客のビフォー・アフター写真を掲載し、他の顧客のモチベーションを高めます。

  • ソーシャルメディアでのシェア促進:顧客に製品の使用体験をSNSでシェアするよう促し、同製品を使用していない人と比較しやすくします。「このハッシュタグを使ってあなたの使用体験をシェアしてください」といったキャンペーンを実施し、他の顧客がその投稿を見て購入を検討するよう促します。

情報カスケード(Information Cascade)

情報カスケードとは、少数の個人の行動や選択が他の人々に大きな影響を与え、その結果、多くの人々が同じ行動や選択をする現象です。人々は他人の行動を見て、自分の判断を変えることがあり、これが連鎖的に広がります。

  • 製品のレビューと口コミ:初期の購入者によるポジティブなレビューが多くの人に広まり、他の顧客もその製品を購入するようになります。新製品発売時にインフルエンサーや初期購入者に製品を試してもらい、ポジティブなレビューをSNSやレビューサイトに投稿してもらうことで、他の顧客の購入意欲を高めることができます。

  • バイラルキャンペーン:一部の顧客がキャンペーンに参加することで、その情報が急速に広がり、多くの人が参加するようになります。例えば、ソーシャルメディアで「#MyNewShoes」というハッシュタグを使った写真投稿キャンペーンを実施し、初期の参加者の投稿が多くの人にシェアされて広まることで、製品の認知度が急速に高まります。

  • 店舗の行列効果:一部の人々が新しい店舗やレストランの前に並ぶことで、他の人々も「人気がある」と感じて並び始めることがあります。新しいカフェがオープンする際に、初日に割引や無料の特典を提供し、行列を作ることで通行人の関心を引き、その後も多くの人が訪れるよう促します。

シリアルポジション効果(Serial Position Effect)

シリアルポジション効果とは、リストの最初や最後の項目が特に記憶に残りやすい現象です。中間の項目はあまり記憶に残りにくいです。

  • メニュー配置:レストランのメニューで効果的に使います。レストランが、利益率の高い料理をメニューの最初と最後に配置し、顧客がそれらを注文するよう促します。

  • プレゼンテーション:商品説明の順番を工夫します。新製品発表会で、最も重要な特徴や目玉商品を最初と最後に紹介し、顧客の記憶に残るようにします。

  • オンラインストアの商品リスト:ウェブサイトの商品表示順序を工夫します。オンラインショップで、特に売りたい商品をリストの最初と最後に配置し、顧客がそれらの商品を見逃さないようにします。

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《西口一希》

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