

心理学の9分類に続き、優先して理解しておきたい64の理論を事例を交えながら解説します。先の9分類で代表的な理論として挙げたものも含みます。
本項では優先すべき理論31~33として、ダニング・クルーガー効果、単純存在効果、沈没費用の誤謬を解説します。
ダニング・クルーガー効果(Dunning-Kruger Effect)
ダニング・クルーガー効果とは、能力の低い人が自分の能力を過大評価し、能力の高い人が自分の能力を過小評価する現象です。知識やスキルが不足している人ほど、自信を持ちやすいという心理傾向です。
簡単に見える使い方:製品が簡単に使えることを強調します。DIYキットを「初心者でも簡単に作れる!」とアピールし、顧客に自信を持たせて購入を促します。
教育コンテンツの提供:簡単に学べることを強調します。オンライン学習プラットフォームが「誰でも簡単に学べるコース」として提供し、初心者の学習意欲を高めます。
試用サンプル:簡単に試せることをアピールします。化粧品ブランドが「初心者でも簡単に使えるミニサンプル」を配布し、自信を持たせて製品の購入を促します。
単純存在効果(Mere Presence Effect)
単純存在効果とは、他者が近くにいるだけで、その行動やパフォーマンスに影響を与える現象です。他人が存在することで、人は行動を変えたり、より努力したりすることがあります。
実店舗での購入促進:店舗内に他の顧客がいることで購入意欲を刺激します。にぎわっているカフェやレストランでは、他の人が楽しんでいる様子を見るだけで、新規顧客も入りやすくなります。
イベントでのデモンストレーション:イベント会場で製品のデモンストレーションを行い、他の参加者が注目することで購入意欲を高める。電子機器の展示会で、新製品の実演を行い、観客が集まることで、その場での購入を促進する。
ソーシャルメディアでのライブ配信:ライブ配信で製品を紹介し、他の視聴者がいることを見せることで、視聴者の興味を引く。人気のインフルエンサーがライブ配信で新しい化粧品を紹介し、多くの視聴者が参加している様子を見せることで、リアルタイムでの購入を促す。
沈没費用の誤謬(Sunk Cost Fallacy)
沈没費用の誤謬とは、既に費やした時間やお金、労力などの不可逆的なコスト(沈没費用)に基づいて、合理的でない意思決定を行う現象です。本来はこれからの利益やコストを考慮して判断すべきところを、過去に投じたリソースに囚われてしまうことが原因です。
定期購読サービスの継続:過去に費やしたお金や時間が無駄になると思わせることで、契約を続けさせる。雑誌の定期購読を続けさせるために「これまでのバックナンバーも含めて特典が受けられます」と訴求し、購読を続けさせる。
ゲーム内課金:ゲーム内での課金を続けさせるために、これまでに投じたリソースを強調する。「ここまで育てたキャラクターが無駄にならないように、次のレベルアップに必要なアイテムを購入しましょう」と促す。
高額セミナーの継続参加:過去に高額な参加費を払ったセミナーシリーズに継続的に参加させる。「前回のセミナーで得た知識を無駄にしないために、次回のセミナーにも参加しましょう」と案内する。
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