

心理学の9分類に続き、優先して理解しておきたい64の理論を事例を交えながら解説します。先の9分類で代表的な理論として挙げたものも含みます。
本項では優先すべき理論34~36として、ツァイガルニク効果、デコイ効果、デフォルト効果を解説します。
ツァイガルニク効果(Zeigarnik Effect)
ツァイガルニク効果とは、人が未完了のタスクや中断されたタスクを記憶に留めやすい現象です。完了していないことに対する心理的な緊張が、記憶を強化する効果があります。
未完了タスクのリマインダー:購入途中で中断された顧客にリマインダーを送ります。オンラインショップが「カートに商品が残っています」とリマインダーメールを送り、購入を完了させるよう促します。
シリーズ広告:続きが気になるような広告を作成します。テレビドラマの広告で「続きは次週」といったクリフハンガー(その先を期待させる未完のままの場面や、緊張感を与える状況)を用い、視聴者の関心を維持します。
分割情報の提供:完全な情報を一度に提供せず、分割して徐々に提供します。新製品発表キャンペーンで「詳細は次回発表」と小出しに情報を提供し、顧客の関心を引き続けます。
デコイ効果(Decoy Effect)
デコイ効果とは、顧客が何らかの選択をする際に、比較するとあまり魅力的でない選択肢(デコイ)を加えることで、特定の選択肢をより魅力的に見せる現象です。
メディアの購読プラン:「オンライン版のみ:59ドル、プリント版のみ:125ドル(デコイ)、オンライン版+プリント版:125ドル」の場合、プリント版のみのプランがデコイとなり、同じ価格でオンライン版も付いてくる3番目のオプションが最も魅力的に見えるようになります。
ジムの会員プラン:「月会費制プラン:5,000円/月、年間契約プラン:50,000円/年(デコイ)、2年間契約プラン:55,000円/2年」の場合、年間契約プランがデコイとなり、わずかな追加料金で2年間契約プランが選べるため、多くの顧客が2年間契約プランを選択するようになります。
映画館のポップコーン販売:「小サイズ:3ドル、中サイズ:6.5ドル(デコイ)、大サイズ:7ドル」の場合、中サイズがデコイとなり、わずかな追加料金で大サイズが選べるため、多くの顧客が大サイズを選択するようになります。
デフォルト効果(Default Effect)
デフォルト効果とは、人が与えられた選択肢の中で、あらかじめ設定されたデフォルトの選択肢をそのまま選ぶ傾向のことです。選択肢を変更することに対して抵抗を感じ、初期設定に従うことが多くなります。
サブスクリプションサービス:デフォルトで自動更新が設定されているサブスクリプションプラン。音楽ストリーミングサービスが、初回登録時に自動更新をデフォルト設定にし、ユーザーがそのまま更新を続けるようにします。
オプトアウト形式のメールリスト:ユーザーがデフォルトでメールリストに登録されている設定。オンラインショップが、ユーザーの購入時にメールニュースレターの受信にデフォルトでチェックを入れておき、ユーザーがそのまま受信を続けるようにします。
デフォルトの設定を利用した寄付:チェックアウト時にデフォルトで寄付金が追加されている設定。オンラインショッピングサイトで、チェックアウト時に「この購入に1ドルを寄付します」というオプションがデフォルトで選択されており、ユーザーがそのまま寄付を行います。
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