AppleのテレビCM「1984」は社会に多くの反響を呼び起こしましたが、肝心のMacintoshの販促では苦戦が続きました。続く CM「レミングたち」はCMそのものが批判を招いています。顧客のニーズを無視した広告戦略は失敗し、業績も低迷したことが示されたと言えるでしょう。
プロダクトアイデアとコミュニケーションアイデアは異なり、後者は前者に依存します。強固なプロダクトアイデアが売上持続に必要で、コミュニケーションは補強に過ぎません。
マーケティングでは、顧客(WHO)と提案内容(WHAT)を明確にしないと効果的な手段(HOW)を選べず、売上向上が難しくなります。顧客のニーズを理解し、適切な価値を提供することが重要です。
ブランドマーケティングは、ブランド価値の向上と顧客との関係強化を目指すため、長期的な戦略が求められています。単発的なマーケティング施策ではなく、プロダクトのイノベーションや開発強化を中心に、長い時系列で捉えて理解することが重要です。
1970年代からBtoBマーケティングが進化し、グローバル化やデジタル化によりカスタマイズ戦略を重要視するようになりました。特にアカウントベースド マーケティング(ABM)が顧客関係構築に貢献しています。
iPhoneやAmazonは、顧客ニーズに応じて戦略的にポジショニングを変化させ、成功を収めました。デジタル時代ではSTPとMMの役割の重要性が拡大し、評価が逆転することもあるのです。「ポジショニングの罠」、完結です。
Amazonは書籍から多様な商品へとカテゴリーを拡大し成功を収めましたが、当初は書籍のみにすべきという批判もありました。インターネットの特性により、顧客ごとに異なる訴求が実現可能となり、ブランドのポジショニングを複数の訴求で強化できるようになったのです。
コトラー教授はマーケティング計画におけるポジショニングの重要性を強調し、4Pの前にSTPを構築すべきと説いています。彼はポジショニングを単なる広告戦略ではなく、企業全体の戦略に位置づけています。
「ポジショニング」の認識の違いがマーケティングの議論を混乱させます。MMレベルでの議論がSTPの狭義な定義を招き、機会損失につながる恐れがあるのです。
Appleの伝説的CM「1984」は、スティーブ・ジョブズが主導し高評価を受けましたが、新モデルのMacintoshは思ったほど売れず、業績にはつながりませんでした。マーケティング戦略の検証が重要であることを示す事例です。