AIと組織の未来 Block論文とドラッカーが交差する地点

2026年のBlock論文は、AIが情報の集約・調整を代替し階層組織を解体する未来を提起しました。これはドラッカーが1988年に予言した「情報型組織」の技術的実現です。組織はリアルタイムな「ワールドモデル」へ移行し、人間はAIに代替不可能な倫理的判断や意味の創造といった高度な貢献に特化していくことになります。
AIと組織の未来 Block論文とドラッカーが交差する地点
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編集部より:記事末尾に今回の内容をまとめたスライドをご用意しました

第一部:Block論文が提起したこと

2000年間変わらなかった問い

2026年3月、Block(旧Square)のCEOであるJack DorseyとSequoia CapitalのRoelof Bothaが連名で発表した論文「From Hierarchy to Intelligence(階層から知性へ)」は、経営・組織論の世界に静かな衝撃を与えました。

論文はまず、驚くほど長い歴史的遡及から始まります。ローマ軍の最小単位は8人のコンテュベルニウム(分隊)でした。10分隊で80人のケントゥリア(百人隊)、6ケントゥリアでコホルト、10コホルトで約5,000人のレギオ(軍団)。この「8→80→480→5,000」という入れ子構造は、一人のリーダーが効果的に管理できるのはせいぜい3~8人という人間の認知的限界を前提として設計された、情報伝達のためのプロトコルでした。

次の革新はプロイセン軍にありました。1806年のイェナの戦いでナポレオン軍に壊滅させられた後、シャルンホルストらが「天才的指導者への依存をやめ、システムで組織を動かす」という思想から参謀本部制度を創設します。これが「中間管理職」の起源です。情報を集約し、判断を事前計算し、組織全体の調整を専門とする職能の誕生でした。


《西口一希》

AI大変革時代のインパクト