
シスコシステムズ:インターネットの基盤を築いた「最初の10年」の戦略
シスコシステムズは、1984年の創業からわずか10年でインターネットインフラの主要プレイヤーへと進化しました。1990年の上場から2024年までに時価総額は約893倍の2,000億ドルに達しています。その成功の裏には、大学発の革新的な技術と、戦略的な買収による市場支配力の獲得がありました。
1. 創業:スタンフォード大学のアトリエから(1984年)
シスコは、スタンフォード大学のコンピューターサイエンス部門にいたレナード・ボサックと、ビジネススクールのネットワーク管理者だったサンディ・ラーナーによって設立されました。
ルーター技術の開発: 当時、大学内のネットワークはバラバラで互換性がありませんでした。ボサックとラーナーはこの問題を解決するために、異なるネットワーク同士をつなぐ「ルーター」技術を開発しました。
社名とロゴの由来: 社名の「Cisco」はサンフランシスコ(San Francisco)から取られ、ロゴには有名なゴールデンゲートブリッジがデザインされています。
2. 最初の製品とブレイクスルー(1986年)
1986年、シスコは最初の製品「AGSルーター」を発売しました。
マルチプロトコル・ルーティング: 異なる通信規格をスムーズにつなぐこの技術は、当時のネットワーク環境を劇的に改善し、大きなブレイクスルーとなりました。
爆発的なニーズ: 1980年代後半、企業や大学でネットワークの相互接続ニーズが急増したことで、シスコの技術は不可欠なものとなっていきました。
3. 上場と事業拡大(1990年~1993年)
1990年、シスコはNASDAQに上場し、1億7,000万ドルの資金を調達しました。
一元化とサポートの強化: バラバラだったプロトコルを統合し、1991年には技術支援センター(TAC)を設立して法人向けのサポート体制を固めました。
「Cisco 7000」の導入: 1989年に発表した企業向け大型ルーターは、ネットワーク構築のデファクトスタンダードとなりました。
4. 戦略的買収による市場支配(1993年~1994年)
シスコは1993年以降、競争力を強化するために積極的なM&A(合併・買収)を展開しました。
トータルソリューションの提供: クレセンドコミュニケーションズの買収でイーサネットスイッチ市場へ、さらにATM技術を持つ企業を買収することで、ネットワークインフラを網羅的にカバーする体制を築きました。
クラウド時代の礎: この時期の買収戦略が、後のクラウド時代におけるネットワーク支配へと繋がりました。
5. 創業10年間の成功要因まとめ
シスコがネットワーク機器の世界的なリーダーとなった要因は、以下の4点に集約されます。
革新的なルーティング技術: マルチプロトコル対応ルーターによる接続性の実現。
市場の急成長への対応: インターネット普及の波に乗り、需要を確実に取り込んだ。
資金調達の成功: 上場による巨額の資金を事業拡大に直接投入した。
積極的な買収戦略: 必要な技術を外部から取り込み、市場での支配力を確立した。
まだ会員登録されていない方へ
会員になると、既読やブックマーク(また読みたい記事)の管理ができます。今後、会員限定記事も予定しています。登録は無料です