
マイクロソフト:ソフトウェア帝国を築いた「最初の10年」の戦略
マイクロソフトは1975年の創業からわずか10年余りで、世界のテクノロジー業界の勢力図を塗り替えました。1986年の上場時から2024年までの間に、時価総額を約3,707倍にまで成長させた背景には、創業期における極めて戦略的な選択がありました。
1. 創業と最初の成功:Altair BASIC
1975年4月4日、ビル・ゲイツとポール・アレンによってマイクロソフトは設立されました。最初の事業はコンピューター向けソフトウェアの開発・販売であり、その第一歩が**「Altair BASIC」**です。
当時、個人向けコンピューター「Altair 8800」の登場に合わせ、それに対応するプログラム言語の需要をいち早く予見。MITS社と提携してライセンス提供を開始したことが、ソフトウェア開発会社としての強固な基盤となりました。
2. 運命を変えたIBMとの提携(1980年)
1980年、巨大企業IBMがPC市場への参入にあたりOSを求めていた際、マイクロソフトは自社製OSを持たない状態でありながら「提供できる」と交渉に応じました。
戦略的調達: 別の会社から「86-DOS」を購入・改良し、**「MS-DOS」**として提供。
知財の確保: IBMとの契約において**「OSの所有権」を自社で保持**し、他社PCメーカーにも提供できる権利を維持しました。これが後の圧倒的シェア獲得の鍵となりました。
3. GUI時代の到来とWindowsの誕生(1983-1985年)
AppleがMacintoshで注目を集める中、マイクロソフトも直感的な操作を可能にするGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の時代を予見しました。
Windows 1.0: 1983年に開発発表、1985年に導入。
互換性の重視: 普及していたMS-DOSをベースに動作させることで、既存ユーザーが移行しやすい環境を提供しました。
4. 創業10年間の成功要因まとめ
マイクロソフトが短期間で業界のリーダーとなった要因は、主に以下の4点に集約されます。
ビジネスモデルの確立: ソフトウェアを「ライセンス」として販売する仕組みを定着させた。
競争力のあるライセンス戦略: IBM PCの普及を追い風に、MS-DOSを業界の「デファクトスタンダード(事実上の標準)」へと押し上げた。
強力なリーダーシップ: ビル・ゲイツの先見性により、ハードウェアではなくソフトウェアこそが重要であるという認識を市場に植え付けた。
PC市場の波への同乗: 1980年代の爆発的なPC普及期に、OSという最も重要なインフラを押さえた。
この10年間の土台があったからこそ、後のWindows 95やOffice、現在のクラウド事業へと続く、世界最強のテクノロジー企業への道が切り拓かれたのです。
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