
BMW:航空機エンジンから「駆けぬける歓び」を追求する自動車メーカーへ
BMW(バイエルン発動機製造会社)は1916年にドイツで誕生しました。1969年にフランクフルト証券取引所に上場し、2025年度の時価総額は約510億ユーロに達しています。今では高性能なスポーツカーや高級車を生産するドイツのトップ自動車メーカーですが、その歴史は自動車ではなく、航空機エンジンの製造から始まりました。
1. 創業の背景:航空機エンジンメーカーとしての始まり
BMWの歴史は、1913年にエンジニアのカール・ラップが設立した「ラップ・モトーレンヴェルケ」にさかのぼります。
合併による誕生: 第一次世界大戦の勃発によりドイツ軍の航空機需要が急増したため、1916年にBFW(バイエリッシェ・フルークツォイクヴェルケ)とラップ・モトーレンヴェルケが統合され、BMWが誕生しました。
卓越した技術力: 初期に開発された航空機エンジン「BMW IIIa」は、高い高度でも安定した性能を維持できる高圧縮エンジンであり、軽量かつ強力な出力を誇る画期的なものでした。
2. 戦後の苦難と事業転換(1919年~1923年)
1918年に第一次世界大戦が終結すると、BMWは最大の危機に直面しました。
ヴェルサイユ条約の制限: ドイツ国内での航空機製造が禁止され、主力製品の製造ができなくなりました。
多角化の試み: 生き残りをかけて、産業用、農業用、鉄道車両用などのエンジン製造に進出しましたが、当時のドイツ経済はインフレと混乱の中にあり、経営は非常に厳しい状況でした。
3. オートバイ市場への参入と成功(1923年)
苦境の中、BMWは新たな市場としてオートバイの製造に注目しました。
「BMW R32」の誕生: 1923年、自社ブランド初のオートバイを発表。航空機エンジン技術を応用した「横置きフラットツインエンジン(ボクサーエンジン)」と、耐久性の高い「シャフトドライブシステム」を搭載していました。
ブランドの確立: このR32が市場で高く評価されたことで、BMWはオートバイメーカーとしての地位を確立し、後のオートバイ部門の発展へとつながりました。
4. 自動車産業への進出(1926年~1930年代)
オートバイの成功を受け、1926年から自動車産業への参入を模索し始めました。
小型車の開発: 1926年に小型自動車の開発を開始。1930年代には本格的な自動車メーカーとして成長していくことになります。
重要な第一歩: 航空機エンジンの技術を転用し、制約の多い戦後を生き抜くために下されたこの時期の決断が、自動車メーカーとしての成功への重要な一歩となりました。
5. 創業10年間の成功要因まとめ
BMWが世界的なブランドへと飛躍できた要因は、以下の4点に集約されます。
高度な技術力: 航空機エンジンの開発で培った高性能なエンジン技術。
柔軟な事業転換: 戦後の制約を乗り越え、オートバイや自動車へと進出した適応力。
革新的な製品開発: ボクサーエンジンなど、市場で高く評価される独自の製品を生み出す力。
自動車産業への早期参入: 1920年代後半から着実に自動車製造の足掛かりを築いた先見性。
この創業期の挑戦と進化の積み重ねが、現在のBMWブランドが掲げる「駆けぬける歓び」の精神の源泉となっているのです。
まだ会員登録されていない方へ
会員になると、既読やブックマーク(また読みたい記事)の管理ができます。今後、会員限定記事も予定しています。登録は無料です