1-2-7：ステップ1「Research」④　バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは

バリューチェーン分析（Value Chain Analysis）は、企業が製品やサービスを提供する過程で、付加価値を生み出す目的の活動を分析するためのフレームワークです。この分析は、1985年にマイケル・ポーター氏が『競争優位の戦略』で提唱したもので、企業がどのようにして競争優位を達成するかを理解するための重要な手法です。

バリューチェーンは、主活動（Primary Activities）と支援活動（Support Activities）から構成されています。

• 主活動（Primary Activities）

  • Inbound Logistics（購買物流）：原材料や部品の受け入れ、保管、在庫管理など。

  • Operations（製造）：原材料を最終製品に変換するプロセス。

  • Outbound Logistics（出荷物流）：最終製品の出荷、配送、流通。

  • Marketing & Sales（マーケティングと販売）：製品やサービスのプロモーション、販売活動。

  • Service（サービス）：製品やサービスの保守、アフターサービス。

• 支援活動（Support Activities）

  • Firm Infrastructure（企業インフラ）：経営管理、財務、人事などの全社的な機能。

  • Human Resource Management（人事管理）：人材の採用、育成、評価、報酬など。

  • Technology Development（技術開発）：製品やプロセスの開発、研究開発活動。

  • Procurement（調達）：原材料やサービスの購買活動。

事例1．製造業におけるバリューチェーン分析

• 主活動：

  • 購買物流：原材料の効率的な調達と在庫管理。例えば、自動車メーカーが部品サプライヤーとの関係を最適化してコストを削減する。

  • 製造：効率的な生産ラインの構築。例えば、トヨタの「カイゼン」方式により、生産工程を継続的に改善し、効率を最大化する。

• 支援活動：

  • 技術開発：新しい技術の導入。例えば、電動車両技術の開発に投資し、競争力を強化する。

  • 人事管理：高度な技術を持つ人材の育成。例えば、専門的なトレーニングプログラムを導入して、エンジニアのスキルを向上させる。

事例2．サービス業におけるバリューチェーン分析

• 主活動：

  • マーケティングと販売：顧客ニーズに応じたマーケティング戦略。例えば、オンライン広告とデータ分析を活用してターゲットマーケットにアプローチする。

  • サービス：高品質な顧客サポート。例えば、IT企業が24時間体制のカスタマーサポートを提供し、顧客満足度を高める。

• 支援活動：

  • 企業インフラ：効果的な管理システムの導入。例えば、ERPシステムを導入して業務プロセスを統合し、効率を向上させる。

  • 調達：必要な技術やツールの調達。例えば、最新のソフトウェアツールを調達して、サービスの品質を向上させる。