1-2-6：ステップ1「Research」③　ファイブフォース分析

ファイブフォース分析とは

ファイブフォース分析（Five Forces Analysis）は、企業の競争環境を評価するためのフレームワークで、マイケル・ポーター氏が1980年に提唱しました。この分析は、業界の競争強度と収益性に影響を与える5つの要因を特定します。

それぞれの要素は、次の通りです。

1. 新規参入の脅威（Threat of New Entrants）：新しい競争相手が市場に参入する可能性と、その参入が業界の競争状況に与える影響を評価します。参入障壁の高さやブランド力、規模の経済などが関与します。

2. 競争業者の敵対関係（Rivalry Among Existing Competitors）：既存の競争相手との競争の激しさを評価します。市場の成長率、企業間の差別化の程度、コスト構造などが影響します。

3. 代替品の脅威（Threat of Substitutes）：同じニーズを満たす代替品が存在するか、またその代替品が市場に与える影響を評価します。代替品の価格性能比、代替の容易さなどが重要な要素です。

4. 買い手の交渉力（Bargaining Power of Buyers）：顧客が持つ交渉力を評価します。買い手の集中度、製品の重要度、スイッチングコストなどが影響します。

5. 供給者の交渉力（Bargaining Power of Suppliers）：供給者が持つ交渉力を評価します。供給者の集中度、代替供給源の存在、供給品の重要度などが関与します。

事例1．自動車産業におけるファイブフォース分析

• 新規参入の脅威：

  • 高い参入障壁：大規模な資本投資、技術開発の必要性、ブランドの確立が必要。

• 競争業者の敵対関係：

  • 高度な競争：主要メーカー間での激しい競争、差別化の重要性。

• 代替品の脅威：

  • 低い：電動自動車や自転車など一部の代替品は存在するが、全体的には代替品の影響は限定的。

• 買い手の交渉力：

  • 中程度：消費者は多くの選択肢を持つが、メーカーのブランド力が影響を緩和。

• 供給者の交渉力：

  • 高い：自動車部品の供給者は少数であり、特定の技術や部品に依存しているため。

事例2．テクノロジー業界におけるファイブフォース分析

• 新規参入の脅威：

  • 低い：技術革新とブランド認知が高い参入障壁を形成。

• 競争業者の敵対関係：

  • 非常に高い：急速な技術進歩と顧客要求の変化に対応するため、激しい競争が存在。

• 代替品の脅威：

  • 高い：新しい技術や製品が常に登場し、既存製品を代替する可能性が高い。

• 買い手の交渉力：

  • 高い：顧客は多くの選択肢を持ち、製品の差別化が難しい場合、価格交渉力が強まる。

• 供給者の交渉力：

  • 低い：多くの供給者が存在し、供給品の代替が容易なため、供給者の交渉力は低い。