
ステップ1は、戦略策定のための調査分析
ステップ1は、戦略を策定するための市場調査や環境分析、顧客調査の分析です。主にビジネスを取り巻くマクロ環境、社外の環境、自社の強み・弱みなどを把握し、自社の事業領域の理解と基本的な顧客理解を行います。
様々な分析フレームワークがありますが、代表的なものとして、PEST分析、3C分析、ファイブフォース分析、バリューチェーン分析、SWOT分析、VARIO分析、KBF分析などがあります。これらはそれぞれ特定の視点からビジネス環境を評価できるので、ステップ2のSTPにおける戦略的な意思決定に役立てます。
以下、各フレームワークの概要を解説していきます。

PEST分析とは
PEST分析は、企業が外部環境を評価し、戦略的な意思決定を行うためのフレームワークです。PESTはPolitical、Economic、Social、Technologicalの4要素の頭文字を取ったもので、それぞれが企業に影響を与えるマクロ環境の要因を指します。
各要素については、次の通りです。
Political(政治的要因):政府の政策、規制、法律、税制、貿易政策、政治の安定性などが含まれます。これらの要因は企業の運営に直接的または間接的に影響を与えます。
Economic(経済的要因):経済成長率、為替レート、インフレーション率、失業率、購買力などが含まれます。これらの要因は市場の動向や消費者の購買力に影響を与えます。
Social(社会的要因):人口動態、文化、ライフスタイル、教育水準、社会的価値観などが含まれます。これらの要因は消費者のニーズや市場の需要に影響を与えます。
Technological(技術的要因);技術革新、研究開発活動、技術の普及率、インフラストラクチャーなどが含まれます。これらの要因は製品開発や市場の競争力に影響を与えます。
事例1. 自動車産業におけるPEST分析
Political(政治的要因):政府の環境規制や排出基準の強化。例えば、各国政府が温室効果ガス削減を目指して厳しい排出規制を導入しているため、自動車メーカーは電動車やハイブリッド車の開発に力を入れる必要があります。
Economic(経済的要因):経済成長率や消費者の購買力の変動。例えば、経済成長が低迷すると自動車の販売も減少する傾向があるため、メーカーはコスト削減や価格戦略の見直しを行う必要があります。
Social(社会的要因):消費者の環境意識の高まり。例えば、エコカーの需要が増加しているため、自動車メーカーは環境に優しい車両の開発とマーケティングに注力する必要があります。
Technological(技術的要因):自動運転技術の進展。例えば、技術革新によって自動運転車の実用化が進んでおり、これに対応するために研究開発投資を増やす必要があります。
事例2. 小売業におけるPEST分析
Political(政治的要因):消費税の変更や労働法の改正。例えば、消費税の引き上げが実施されると消費者の購買行動に影響を与え、小売業者は価格戦略を再検討する必要があります。
Economic(経済的要因):景気の変動と消費者信頼感の変化。例えば、景気後退期には消費者の支出が減少し、小売業者は売上を維持するためにプロモーション活動を強化する必要があります。
Social(社会的要因):オンラインショッピングの普及と消費者行動の変化。例えば、インターネットの普及によりオンラインショッピングが一般化しているため、伝統的な小売業者もオンライン販売チャネルを強化する必要があります。
Technological(技術的要因):モバイル決済や人工知能の活用。例えば、最新の技術を活用して効率的な在庫管理やパーソナライズされた顧客サービスを提供することで競争力を高めることができます。
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