2026年9月10日に開催された「AI Marketing Day 2026」で、西口一希が「マーケティングの原理原則をAIに宿す」と題した基調講演を行いました。AIがどれだけ進化しても変わらない6つの原則と、自身の思考回路をデータベース化した「Wisdom AI」の現在地について、講演の内容を再構成してお届けします。
「作業」はAIが持っていく。残るのは「判断」です

私はP&Gをはじめ事業会社に長く勤めたのち独立し、2019年に立ち上げたM-Forceは2年前にマクロミルに売却しました。現在はWisdom Evolution Companyを通じて、AI事業に取り組んでいます。これまで1時間以上ご相談に乗った企業は582社、うち52社と契約や投資をさせていただき、IPO2社、M&A7件を経験しました。観光庁からお寺、D2Cコスメ、自動車まで、業種も事業フェーズも本当に多様な経験を、ひとつのデータベースにずっと蓄積してきました。
その知見は十数冊の書籍にもなっていますが、書いてみて痛感したことがあります。書籍やセミナーの知識は持ち帰っていただけても、実務で使うには大きなハードルがあるのです。同じ知識でも、置かれた状況や文脈によって判断は変わります。条件を入れないと知識は使えない。当たり前のことですが、これが本質だと思っています。
一方でAIの進化は極めて速くなっています。私自身、最新のAIツールを1日8時間ほど触っていますが、そこで確信したのは、デジタルの中で完結するものは、もう人間は絶対に勝てないということです。広告運用も分析も、遠くない将来、すべてAIが担うでしょう。ただし、文脈に応じて「状況的にはAだが、将来を考えるとBがいい気がする」と判断する部分は、AIにはまだ任せられないし、人間としても任せないだろうと思います。







