2-0:「顧客起点マーケティング」とは何か

顧客起点マーケティング ガイダンス
顧客起点マーケティングは、顧客のニーズを深堀りし、実在する顧客を基に戦略を構築する手法です。1人の顧客だけではなく、マスの情報を組み合わせて投資対効果を最大化することが目的です。
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1人を起点に、同じ人はどのくらいいるのかを考える

Wisdom-Betaにおける大きなコンテンツ群のひとつ、顧客起点マーケティングは、本サービスの運営社代表である西口一希が提唱したメソッドです。その特徴は、文字通り、顧客を起点にマーケティングを実践することです。

顧客起点マーケティングに関連する過去の著作には、『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』(翔泳社)、『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』(日本実業出版社)などがあります。本項はこれらをアップデートしながら、西口の発信した知見や未発表の内容も含めて、一連のコンテンツとして大幅に再編集・加筆しています。活用の許諾をいただいた各社に厚く感謝申し上げます。

顧客起点マーケティングは、1人の意見を信じきることを推奨するわけではありません。実在する「顧客1人(N=1)」と、その人が「何を求めているのか」の深掘りを起点としながら、例えばアンケート調査のような、マスを対象として得られる情報も掛け合わせて、マーケティングを組み立てていきます。

顧客起点マーケティングにおける戦略と戦術

一般的なマーケティングは、大きなマーケットや不特定多数の顧客をセグメンテーション(分類)しながら、戦略と戦術を構築します。一方、創業者やスタートアップが行うことが多い、1人の要望をベースとするアプローチは、1人の顧客から戦略と戦術の構築を行っていきます。

といっても、結果として成功したといわれる事業は、顧客1人の意見やニーズだけを頼りにビジネスを進めてきたわけではありません。実在する1人の顧客=N1はどのような人で、何を求めているのかを把握し、同じような顧客がほかにもいるのか、いるならどのくらいいるのかを見極めながら、マーケティングの手段手法の選択と投資を最適化しています。

あくまで、潜在顧客も含めた顧客全体における1人=N1の心理と行動を理解し、その意見やニーズを起点に、マスを対象とする分析も掛け合わせて、対象顧客のボリュームと投資を検証しながら戦略と戦術を構築するのが顧客起点マーケティングです。

N1起点とマス起点の間にある最適解を探る

一般的な前提や既存や法則から、特定の結論や予測を導き出す考え方を、演繹法といいます。マーケティングでは、例えばマーケット(市場)を顧客の集合と捉え、統計分析や大規模アンケート調査などからビジネスを成長させようとするのは、演繹的な思考です。これを、Wisdomでは「マス(大衆)起点」と呼んでいます。

一方、具体的な事象を起点に普遍性を見いだす考え方を、帰納法といいます。マーケティングにおいて、実在する顧客1人の心理と行動を理解し、その人の具体的な意見やニーズを発端にビジネスを成長させようとするのは帰納的な思考です。これをWisdomでは「N1起点」と呼んでいます。

マーケティングにおける演繹的思考は、投資対効果を高めるべく大きな規模を追求しますが、顧客の解像度が低くなります。後者は、顧客の解像度は高いですが、規模がありません。結果、どちらのアプローチも一長一短です。

顧客起点マーケティングは、この2つを運用し、「規模」と「顧客の解像度」を両立して投資対効果を最大化します。調査のようなマスを対象とする分析を掛け合わせて、最も顧客に貢献するには「誰に(WHO)&何を(WHAT)提供すべきか」の戦略を導き出します。

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《西口一希》

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