顧客起点のLTV最大化

テーマ解説 LTVの真の定義
ビジネスの文脈でLTVと言うとき、それは売上ではなく、利益で計算されるべき数字だということです。利益ベースで考えてはじめて、その顧客関係が事業にとって本当にどれだけの価値を持つのかが見えてきます。
顧客起点のLTV最大化

ビジネスの文脈でLTVと言うとき、まず前提として確認しておくべき重要な点があります。LTVとは売上ではなく、利益で計算されるべき数字だということです。顧客一人を獲得・維持するためにかかるコストである広告費、営業費、サポート費、解約防止施策の費用などをすべて差し引いた後に残る利益の累計が、真のLTVと言えます。売上ベースで計算したLTVは、顧客との取引の「量」を測っているだけで、そのために何を費やしたかを無視した数字に過ぎません。利益ベースで考えてはじめて、その顧客関係が事業にとって本当にどれだけの価値を持つのかが見えてくると思います。

次に「ゆりかごから墓場まで」という言葉について触れておきたいと思います。この表現はもともと、1942年にイギリスの経済学者ウィリアム・ベヴァリッジが発表した社会保障制度の報告書に由来します。人間が生まれた瞬間(ゆりかご)から死を迎える瞬間(墓場)まで、国家が国民の生活を丸ごと保障するという福祉国家の理念を表した言葉であり、戦後のイギリス福祉制度の根幹思想となりました。ビジネスにおいてこの言葉を借用するとき、その意味はこうなります。人間は誕生から死まで、教育、健康、仕事、住まい、家族形成、老後、終活に至るまで、膨大な消費と経験を積み重ね続ける存在であり、その一生を通じた需要の総量は途方もなく大きいということです。この視点こそが、LTVを語る上での根本的な土台になると考えます。

では、この考え方をビジネスのLTV論に重ねて考えてみましょう。ここでは旅人と宿場町の例えを使いたいと思います。


《西口一希》

LTVの真の定義