※なお、簡易的な対談バージョンもご用意しましたので、お役立てください。 本コンテンツは、『マーケティング手法大全』をお読みいただいた皆さんに向けて書き下ろした、「マーケティングプロセス」運用における課題とその対応です。『マーケティング手法大全』で解説した、マーケティングプロセス(R-STP-MM-I-C)と、マーケティングの基本3要素(WHO WHAT HOW)、そして115種類のマーケティングとの関係を理解していただいて、それらを実務に活用し始めると、様々な課題や疑問が出てきます。その中でも、最も多くのマーケターが直面する悩みや混乱を3つの課題として定義し、具体的な対応方法を紹介します。 目次を見ていただくと、課題②の「顧客は動態である」の部分、とりわけ「ターゲティング」の部分に厚みがあるのが一目瞭然です。均等に解説できていないことは読みづらさにもなるかと思い申し訳ありませんが、それだけ、この部分の課題が大きいということです。実際の生活者へのアンケート調査をもとにしたニューバランスの事例も含めていますので、お役立てください。 書籍をご購入いただいた方には、まだマーケティングの仕事について間もない、あるいはマーケティングに興味があるという初学者の方も多いかと存じます。そうした方々には、実務家向けに振り切った本コンテンツは、やや難しいかもしれません。今、本書の延長として無理に読む必要はありませんし、少しハードルが高く感じても当然と思います。実務経験を積まれてからでもまったく遅くはありませんので、ぜひブックマークしていただき、また戻ってきていただけたら幸いです。皆さんの実務での健闘を祈ります。 『マーケティング手法大全』著者 西口一希 |
目次
「マーケティングプロセス」は今、実務でどのように活用すべきか
マスから、少数セグメントや個人へのアプローチに
「R-STP-MM-I-C」の4つの変化
実務における課題と対応①:直線的な運用から、ダイナミックなプロセス運用へ
課題①:直線的な運用で、実務が一部のみに閉じ、継続的改善サイクルがない
課題①への対応 ― ダイナミックなプロセス運用
実務における課題と対応②:顧客は固定ではなく“動態”の前提でSTPを構築する
課題②:STPの解像度が粗く、平均値的で画一的な戦略(WHO・WHAT)となり、効果的なMMにつながらない
売上 = 顧客数 × 平均購入頻度 ×平均購入単価
マーケットを顧客の動態として捉えていない
S:セグメンテーション ― 行動変数の分類が不十分
T:ターゲティング ― 複数の「WHO&WHAT」を見逃している
セグメンテーションの粒度でターゲティングの精度が変わる
複数の「WHO&WHAT」の事例
複数の顧客層に対するKBF分析 ― 顧客が購入する理由
STPとMMで6Rを検討する
P:ポジショニング ― 戦略と戦術の混乱
ニューバランスの事例で考えるポジショニング
広告としてのポジショニング
戦略としてのポジショニング
ニューバランス購入者における複数のWHO&WHAT
ポジショニングマップの問題
テーマ解説:ポジショニングの罠 ― それは戦略か、広告手法か
ポジショニングの誤解が拡大した理由
STPの戦略構築におけるポジショニング ~コトラー教授の推薦文
コミュニケーション理論としてのポジショニング ~ライズ氏、トラウト氏の定義
「Amazonのカテゴリー拡大は間違い」という批判
今や、ひとつのブランドに複数顧客が成立する
失敗すると見られていたiPhone
MMのポジショニング先行は主従が逆転する
課題②への対応 ― 顧客動態(カスタマーダイナミクス)の可視化
自社の顧客データでのカスタマーダイナミクス
アンケート調査でのカスタマーダイナミクス - 5segs、9segs
カスタマーダイナミクスの活用
顧客動態(カスタマーダイナミクス)を見なければ、競合の過剰評価と過小評価が起こる
実務における課題と対応③: MMから即I(実行)に移らず、様々な方法でその確度を把握する
課題③:MM(施策)の検証・テストの不在
課題③への対応 ー I(実行)を、「検証・テストを経て拡大実行」と捉える
「実務マーケティングプロセス」の提案